ススメシリーズ第一弾のリビジョン版ということで、ここでは先任軍曹について出来る限りわかりやすく解説していきます。
ススメシリーズ第一弾は「小隊先任軍曹」と銘打ってありますが、ここでは実際には作戦に投入されるあらゆるサイズのユニットに随行する先任軍曹について解説します。
現実の軍隊とは違いますし、これはArma 3というゲームですので、(小隊未満のユニットで行動することの多いCCGサーバーなので)作戦にあたる歩兵ユニットに対し1名の先任軍曹を割り当てる、という前提で話を進めます。
元の文章には、「小隊先任軍曹を、あたかも「"名誉”ライフルマン」のように解釈する人が後を絶たない」という表記があります。その理由は、先任軍曹という職は単に経験を積んだだけのライフルマン職ではないからです。一兵卒とは違い、チームのまとめ役として常に機能しなければなりません。
難しい役職に聞こえますが。しかし、1つの目標に向かい、チームを一つにまとめ、そして目標を達成したときの感動は代えがたいものがあります。
また、小隊先任軍曹は分隊長経験者も、これから分隊長を学びたいという人も一度は経験しておくとよい役職です。
では、先任軍曹の仕事について説明していきましょう。
先任軍曹の仕事は、ミッション開始前から始まります。もとより、開始前の仕事のほうが先任軍曹の仕事量の半分以上を占める、と言っても過言ではありません。
作戦開始前の先任軍曹は、
という6つの仕事を請け負います。
各員の装備点検
作戦開始前に、それぞれの兵科が正しい武器を持っているか、また隊長から指示された通りに持っているか、時には隊長から下達された内容を隊員に指示します。
隊長の意図をくみ取り、適切な装備配置を指示し、各員にその意味を理解させるまでが先任軍曹の最初の仕事です。
通信設備の確認
作戦開始前に、各員や他の隊との通信がきちんと確立されているかを確認します。隊長はおそらく作戦を立てるのに忙しいため、先任軍曹が自ら率先してレディオ・チェックを行いましょう。
隊内にRTOやJTACがいる場合、自身と共に隊長の直属となりますので、互いにブリーフィングを行い、他の隊とのレディオ・チェックを済ませておきましょう。
分遣隊の指揮・統率
同じ隊内にJTAC[1]やFO[2]、RTO[3]がいる場合、作戦中彼らは先任軍曹と共に隊長の直属として配置されます。この場合、彼らの“面倒を見る”のは先任軍曹の仕事です。
JTACやFOとは、隊長と一緒に火力支援の投入について話し合いましょう。
他の隊と連携を取るRTOとは、常に作戦の状況、敵や味方の情報について共有し合い、RTOがスムーズな仕事をこなせるよう配慮します。
彼らのモチベーション、ひいては隊長のモチベーションを引き上げるのも先任軍曹の大切な仕事です。
作戦地域(AO[4])に関する情報の報告
作戦開始前には、マップの地形をよく覚えておきましょう。
隊長は作戦と自信らの行動をマクロな視点から観察しています。その先のミクロの部分、つまり細かい部分を指示するのは先任軍曹の仕事です。
移動経路の策定やAOへの進入、火力の適切な投入などに必要な地形情報をマップから読み取り、想定される状況を隊長に事前に報告し、行動方針を協議しましょう。
細かい移動経路の選定と指示
AOへの移動経路は、隊長が決定します。しかしそれはあくまで“指標”であり、細かいルート取りは先任軍曹に一任されることがあります。前項で述べたように、隊長は“マクロ”、そして先任軍曹は“ミクロ”の視点で作戦を見通さなければなりません。
移動経路に関しても同様で、例えば「ここには待ち伏せにピッタリの地形がある。迂回しよう」と上申したり、「AO手前500mまではスピードを落とさずに突っ切ってしまおう」とドライバーに指示を出したりなど細かい部分を隊長に上申し、適切に、そしてわかりやすく下達しましょう。
「作戦指示(OPORD)」の「作戦支援(Service Support)」項目のまとめと報告
非常に長いタイトルですが、要は「作戦中にどういった支援が受けられるのか、その条件は何か」といった情報を簡潔にまとめて隊長と共有し、必要に応じて支援を要請する、という仕事になります。
OPORD(Operations Order、作戦命令)の4章、というのは作戦命令の「支援と維持」という項目のことで、ここには、作戦を実行する上で必要な情報として補給、医療救難、捕虜の取り扱い、特殊装備・鹵獲装備とその取扱いの4つが指示として書かれています。
先任軍曹の仕事は、上位のユニット(CCGサーバーのArma 3では主にZeus役のプレイヤー)から提供されたこれらの情報を隊長と共有し、必要な時に要請できるようあらかじめ協議します。
前項で述べた通り、細かい移動経路を選定し、指示するのは先任軍曹の仕事ですが、その実行に関しても、先任軍曹が一定の責任を負うことになります。
例えば車列で移動している場合、十分な車間が取られているか、適切な速度で移動しているか、移動が遅れている車両がないか、などを常に確認し、適切な報告や連絡、指示をするのも先任軍曹の仕事です。
また、移動中も常に周囲の地形に気を配り、万が一待ち伏せを受けた際も、素早く隠れ応戦するための有利な地形(KT[5])を把握し、必要な場合はすぐに上申しましょう。
どのような状況でも、接敵した場合に真っ先に必要になるのは掩蔽、すなわち銃弾から身を守る場所です。
先任軍曹はいまいる場所がどういう地形で、どこに隠れるのが最適なのかを常に記憶し、接敵があった場合は速やかに隊長隷下の各員に移動指示を出しましょう。
作戦開始前にあらかじめ接敵のありそうな地点の近くにKTを探し出し、地図上にマークしておくと尚いいでしょう。
敵との交戦において、先任軍曹は隊内の各員を適切に配置しなければなりません。
隊員が明後日の方角を向いていないか、機関銃手は効果的な援護射撃を行える位置にいるのか、移動速度が適切か、といった各員の配置と状況を的確に指示し、攻撃に備えさせましょう。この時、無線にも耳を傾けましょう。隊長がどのように指示を出しているのかを正確に把握し、それに応じたフォーメーションが組めるよう各員を配置してください。
隊内の各員に十分な弾薬が行きわたっているかを確認することも大事です。攻撃の前に弾切れ、という事態にならないよう、各員にしっかりと確認を取ります。班長に残弾確認を指示しても構いません。弾薬が足りない場合、隊内でしっかりと弾薬を分け合い、攻撃に備えましょう。
また、攻撃(というより戦闘)時には負傷者はつきものです。負傷者の発生状況を常に確認し、負傷者の回収プランを立てましょう。全ての負傷者が手遅れになる前に治療を受けられるよう配慮するのが大事です。
集合地点についたら、もしくは戦闘がひと段落したら、隊内の各員に周辺警戒を指示しましょう。
隊がある地点にずっと留まっているというのは。敵からしてみれば絶好の的でしかありません。各員がそれぞれ周辺を警戒できるポジションにつけるよう、的確な指示を出しましょう。
またここで、隊内の負傷状況や各員(各班)の残弾数、装備の消費状況などをまとめ、隊長に報告します。隊長はそれを聞いて、あとどの程度の継戦が可能なのかを判断します。
負傷者が多く、または重症な場合、または衛生兵が現状の装備・状況でそれ以上の治療ができない場合などは負傷者救護後送(MEDEVAC[6])や負傷者救難後送(CASEVAC[7])を上申または要請しましょう。
隊長の意図を常に把握し、かみ砕いて理解する。
万が一隊長が倒れた場合、もしくは惜しくもKIAとなってしまった場合に、次に隊を指揮できるのは先任軍曹だけです。先任軍曹は隊長がどのように作戦を遂行するつもりなのかをよく聞き、理解していなければなりません。
また、自分流にアレンジするのは結構ですが、あまりアレンジをしすぎないようにしましょう。先任軍曹はあくまで隊長の代役でしかありませんし、先任軍曹がいきなり隊長に昇格するわけでもありません。倒れた隊長の意図を尊重し、作戦を継続しましょう。
隊長に、自分がいま何をしているか把握してもらう。
先任軍曹は各員に指示を出す権限こそあれ、隊長の意図に反する行動をしていいわけではありません。誰にどのような指示を出したのかを常に隊長に把握してもらいましょう。
支援車両を指揮する。
ストライカーAPCやBTR-80などの支援車両と共に行動する際は、車両から降りた歩兵隊の指揮を隊長が、車両の指揮を先任軍曹が執ります。
支援車両に行動する準備をさせ、また降車した歩兵隊を支援できる最適なポジションを把握し、的確な指示を出しましょう。
ここまでで、先任軍曹の仕事の解説は終わりです。難しいように感じたでしょうか、忙しそうだな、と感じたでしょうか。ですがあなたが思う以上に難しいことではありません。隊長の指示をよく聞き、それに応じたプランを提案し実行する。これだけです。
わからないことがあれば遠慮せずに隊長や隊内の各員に聞いてみましょう。どんな状況でもきっと答えが見つかり、作戦成功につながるはずです。
CCGサーバーでは先任軍曹を分隊長や小隊長への登竜門と考えています。作戦は隊長が立ててくれますから、大船に乗ったつもりで先任軍曹にチャレンジしてみてください。
Joint Terminal Attack Controller、統合末端攻撃統制官。作戦に投入する航空機とその火力の管理と統制、投入を指揮する役職。 ↩︎
Forward Observer、前線観測員。作戦に参加する野砲や迫撃砲、ロケット砲などの、地上から発射する火力支援兵器の統制と火力を投入する際の指示を行う役職。 ↩︎
Radiotelephone Operator、無線通信手。自隊と他隊との間で報告や連絡をするための無線通信を行う役職。 ↩︎
Area of Operation、作戦地域。作戦を実施する地域のこと。 ↩︎
Key Terrain、重要地形。掩蔽や攻撃の際に重要になる地点、地形のこと。主に事前にマップに記入し、作戦中に活用する。 ↩︎
Medical Evacuation、負傷者救護後送。負傷者を、高度医療をが施せる友軍の基地等まで医療要員(衛生兵等)付きで後送すること。 ↩︎
Casualty Evacuation、負傷者救難後送。負傷者を、高度医療をが施せる友軍の基地等まで医療要員なしで後送すること。 ↩︎